木幡市政における実績と次期市長選挙について
木幡市政のこれまでの実績について
①木幡市政のこれまでの実績を、特に最高デジタル責任者(CDO)関連についてお伺いいたします。
市長: これまでの2期8年において多くの困難に直面しましたが、眼前の課題解決はもとより、本市の新ステージを目指し、迅速かつ積極的に施策を推進してまいりました。公約には全て取り組み、新たな課題に対応した新しい政策も打ち出して、子育て支援、教育の充実、まちづくりの進展、誰もが活躍できる共生社会への取組、農業や観光の振興、企業誘致など、市政は大きく前進しています。本市としての過去最高の更新、全国的にも先行的な事例で活性化や利便性向上につながるものも多く、質、量ともにグレードアップしてきました。
その中でDX関連については、私がDXの最高責任者として全庁を挙げて取り組み、2年連続日本DX大賞を受賞するなど、顕著な成果が現れています。
本市DXの最大の特徴は、意識改革、業務改革と一体的に取り組んでいることです。就任2週間後には市の最高会議からペーパーレスにし、デジタルファーストの下、業務改革運動であるかえるチャレンジと併せて、改革の風土づくりを進めてきました。
その結果、災害対策オペレーションシステムなど、業務改革と併せて多くの内製化が進み、これまでに119件の内製化を実現しています。その中で答べんりんくと生活再建支援ナビは、全国的に希有なビジネス化がなされています。公民こねくとという仕組みを活用しての民間企業と連携した取組も本市DXの特徴の一つです。
もう一つ大きな特徴は、DXの恩恵を市民全体で享受できるようにと地域総ぐるみのDXを展開し、特にデジタルが不得手な高齢者にも優しいデジタル化を進めている点です。
市内各界のトップ等でふくしまデジタル推進協議会を設立し、デジタル化推進の全市的合意形成を図るとともに、デジタル都市宣言を行って、地域のデジタル化を推進してきました。
医療分野では県内初導入の12誘導心電図や年末年始等でのオンライン診療、教育分野ではデジタル教科書や電子図書館、働き方改革を進める教務と校務のネットワーク統合、子育て分野では幼稚園、保育所でのコドモンの導入、DX大賞の対象となった母子保健のデジタル化、さらにスマート農業やICTを導入した凍霜害対策、電子町内会、ラジコン草刈り機の導入など、様々な分野でDXが進んでいます。
一方、高齢者にも優しいデジタル化に向け、困ったときに気軽に相談できるシニアICTサポーターの育成や相談窓口のデジタルサポートデスクを設置し、加えて全国初のシルバー人材センターICT班が支援するなど、高齢者同士が助け合いながらデジタル化に対応できるよう努めています。
今や本市は自治体DXを牽引する役割を担っていますが、今後はAIも積極的に活用しながら、地域に根差したデジタル化をさらに推進し、仕事や市民生活をより効率的、より便利で豊かにしていくとともに、DXを本市のブランドとして、若い世代や企業が集まるまちを目指してまいります。
次期市長選挙について
②次期市長選挙に立候補を表明している木幡市長の決意を、安全で安心なまちづくりへ向けての抱負も含めてお伺いいたします。
市長: この8年で市政は大きく前進してきましたが、これまでは、相次ぐ困難に対応しながら、市勢発展の基盤強化が図られてきた段階であり、道半ばであります。
人口減少が全国的に加速し、地域間競争はさらに激しくなっています。強化した基盤を生かしながら、希望と誇りを持って住み続けることを選択いただけるような、第2段階のまちづくりを市民共創でつくっていかなければなりません。そのための仕込みも多数行ってまいりました。
課題が山積し、急速な変化が進む中、財政状況は厳しく、市政のかじ取りはますます難しくなっています。市政の停滞は許されません。
私には、これまでの取組を発展させながら、活力と暮らしやすさを強化し、選んでいただけるまちをつくり、次世代へと継承していく責任があります。自分が何としてでもやり遂げたい、そんな思いから、3期目への出馬を決意しました。
3期目は、新生福島に向けて、より魅力を積み上げていく第2ステージの政策へと展開してまいります。
これまでに仕込んできた多数の芽を育てながら、町なかの再生を確かなものとするとともに、個性ある地域づくりや新たな産業振興により、若い世代にも魅力的な元気な福島をつくります。
また、子育て、教育のさらなる質的充実、女性が活躍できる社会の形成、医療や共生社会など高齢者はじめ誰もが生き生きと暮らせる地域づくりを進めるとともに、福島ならではの豊かな環境を守って、暮らしやすさがより魅力的な福島をつくります。
さらに、デジタル化など常に変革を進めるとともに、創意工夫を駆使し、国、県からの支援等を引き出しながら、サービス向上と効果の最大化を図ってまいります。
その際、安全安心は定住の基盤となるものであり、福祉、医療、子育て、防犯など日々の安全安心を高めるとともに、自助、共助、公助、ハード、ソフトでバランスの取れた災害に強い防災都市の形成を目指します。
防災拠点としての新消防庁舎の整備を予定どおり進めるとともに、危機事案が発生したときこそ首長としての力量が問われます。全庁を挙げた体制で速やかな危機対応と市民に寄り添った対応、そして先読みした事後対応を進め、市民と地域を守ってまいります。
引き続き、開かれた市政、スピードと実行の下、市民の声を謙虚に傾聴しながら、市民、産、学などあらゆる力を結集するオール福島の市民共創を進めてまいります。
まちが元気で暮らし豊かな福島の実現に向け、全身全霊を傾注し、市民の皆様、そして奮闘する職員と共に、第2ステージの政策展開を進めてまいります。
市民の皆様、市議会の皆様のご理解、ご協力を心よりお願い申し上げます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)やICTについて
DX推進計画について
①デジタル人材バンクについて、分野別にデータベース化し希望者を事例等と共に公開することで受益者により一層周知することが可能であると考えられますが、本市の見解を今後の計画も含めてお伺いいたします。
政策調整部長: 本市のデジタル人材バンクは、市が業務課題を抱える市内企業から希望する支援内容などを聞き取った上で、デジタル推進パートナーとして登録されたデジタル人材とマッチングする仕組みでございます。
根本議員におかれましてもこの人材バンクにご登録いただき、デジタル推進パートナーとしてもご活躍をいただいてございます。ありがとうございます。
デジタル人材バンクへの登録希望者は、保有する免許資格やスキル、PRポイントなどをエントリーしていただき、市ではその内容をデータベース化しておりますが、このパーソナルデータは現在公開をしておりません。
デジタル人材バンクにご相談される企業は、その課題解決に向けて、どのようにアプローチしたらよいのか、どのようなスキルを持った人材に依頼すればよいのか分からず、困っている場合が多いため、人材バンクに登録されたパーソナルデータを公開しても、企業とのマッチングには必ずしもつながらないものと考えております。
現在、本市では、マッチングが成立し、他の企業にも参考になる代表的な成功事例のみを市ホームページで情報発信しております。
これまでマッチングした中には、デジタル推進パートナーと市内企業とのマッチングが成立しても課題解決に至らなかった事例もあります。
今後は、当事者の了承が得られれば、こうした業務課題の未解決事例も含めて、より多くの事例を公開し、周知することで、市内企業からの支援相談を増やし、デジタル推進パートナーとのマッチングを進めてまいりたいと考えております。
②本市では、「若者に選んでもらえる・若者が定着する街」の実現に向け、福島市DX推進計画を策定していますが、若者の声を盛り込む具体的手法について、これまでの具体例を今後の計画も含めてお伺いいたします。
政策調整部長: 本年5月に実施した次期DX推進計画策定に向けた市民アンケートでは、年代別の回答率を考慮したサンプル抽出を行っております。
これは、アンケート結果を分析する際に、回答率が高い高齢者層に偏ることを防ぎ、本市の年齢別人口構成、いわゆる人口ピラミッドに合致した回答が得られるように工夫したものでございます。
また、当該アンケートでは、オンラインフォームを活用し、デジタルに慣れている若者が自身の都合のよい時間や場所から回答ができる環境を提供した結果、前回のアンケートと比較し、10代や20代からの回答が多くなっております。
今後、予定しているパブリックコメントの募集においても、若者に対して訴求効果が高い動画を活用するなど、若者がまちづくりや市政に興味を持ち、自分事として捉える動機づけ、きっかけになるような取組を進めてまいります。
③若者の意見を市政に反映する手法として、台湾のv-Taiwan、スペイン・マドリードのDecide Madrid等のオンラインプラットフォームがルールメイキングに活用されていますが、本市でもこのような仕組みを導入することについて、見解をお伺いいたします。
政策調整部長: 台湾政府やマドリード市等の行政機関が運営するオンラインプラットフォームは、住民からの意見の投稿、書き込みなどを通して、住民同士の意見交換や討論、政策に対する意思表示などを行える機能を有しており、行政機関が多様な住民の声を政策に反映させる手段として有効であると捉えております。
一方、340万人を超える人口を有するマドリード市のような大きな自治体では、導入効果が十分に発揮されると考えられますが、オンラインプラットフォームの仕組みを継続的に維持していく運営方法のほか、市民が日常的に利用するための技術的な知識やデジタルリテラシー向上など、課題の分析が必要であると考えており、現段階でシステム導入の検討は行っておりません。
市といたしましては、今ある情報発信のツールや様々なチャンネルを活用することで、若者に市政に興味を持ってもらい、まちづくりに気軽に参加してもらうことに意を用いてまいります。
④多数の市民意見を効果的かつ効率的に分類・分析したり事業案を検討したりする際のAIの活用について、本市の取り組み状況をお伺いいたします。
政策調整部長: AIは、膨大なデータを迅速かつ正確に分析することができること、サンプル間での相関関係を見つけ出し、具体的な傾向や潜在的なニーズを可視化できること、市民の過去の意見やデータを分析することで、将来的に市政にどのようなニーズや課題が生じるかを予測することができることなど、様々な観点での活用が期待されます。
実際に、次期DX推進計画の策定に向けて今年度に実施した市民アンケートでは、回答データの分類、分析にAIを活用したところでございます。
この手法は、迅速かつ正確な分析により意思決定までのプロセスを短縮できるほか、事前に把握できていないパターンや傾向を発見できることなど、有力なツールであります。
今後も、各種計画の策定やニーズに合った施策の展開のため、効果的なAIの活用に取り組んでまいります。
⑤これまでの生成AIの活用実績を、今後の活用計画も含めてお伺いいたします。
政策調整部長: 本市では、令和6年4月に生成AIサービス自治体AIzevoを導入し、操作研修を通じて職員の利用促進を図ってまいりました。
これまでの活用事例としては、行政文書の作成や資料の要約、業務を効率化するためのプログラミングコードの生成、アンケートなどのデータ分析、さらには新たなアイデア出しなどを行っており、令和7年3月末現在、利用件数が1万278件、利用職員は423名となっております。
現在、さらなる活用を図るべく、庁内にプロジェクトチームを設置し、具体的な業務へのAI活用を検討するとともに、AI活用による業務改善提案を重点事項に位置づけ、全庁を挙げて取り組んでいるところでございます。
引き続き、生成AIという新たなツールを活用して、市民サービスの質の向上と事務の効率化、高度化に寄与する業務改革を推進してまいります。
デジタル地域通貨について
①ふくしまデジタル推進協議会では地域経済の活性化に繋がる「デジタル地域通貨」に関する議論が進められていますが、その現状を今後の計画も含めてお伺いいたします。
政策調整部長: デジタル地域通貨は、キャッシュレス化による市民の利便性向上や地域経済の活性化、地域全体のデジタルリテラシー向上に寄与するものでございます。
一方、その導入、運用にあたっては、高額な初期費用及び相応の維持管理費用を要することから、経済的にも持続可能な仕組みを検討する必要があるものと考えております。
また、市民の中にはデジタルが苦手な方もいることから、地域全体のデジタルリテラシーを向上させる取組も重要であります。
これまで、本市職員を対象にデジタル地域通貨に関する勉強会を開催したほか、市内経済団体と意見交換を行うなど、地域通貨の導入に向けた検討を進めておりますが、現在のところ具体的な制度設計には至っておりません。
デジタル地域通貨は、多くの自治体や地域で導入されたものの、利用が進まず、休止や廃止した事例も多くあります。
事業の成否は、実際に利用する地域住民や加盟店となる事業者の理解と協力いかんで左右されることから、市民が地域通貨を利用することで得られる便利さ、事業者における集客効果や売上げ促進といったメリットのほか、利用促進のためのインセンティブや本市の魅力と地域通貨を結びつける施策などを総合的に踏まえ、より効果的な事業となるよう引き続き検討を進めてまいります。
②デジタル地域通貨に使用期限を設けることで一定期間内に通貨の流通を加速させることができ、地域経済を活性化させる効果が期待されますが、「デジタル地域通貨」の使用期限の設定方針について、本市の計画をお伺いいたします。
政策調整部長: デジタル地域通貨の使用期限をイベント等の実施に合わせるなど、集客の促進につながる仕掛けをつくることで特定の期間に消費を集中させ、経済活動を活性化させる効果が期待できるものと捉えております。
先ほどもご答弁しましたとおり、現時点では具体的な制度設計に至っていないことから、使用期限の設定についても今後検討してまいります。
③デジタル地域通貨は、健康ポイント・ボランティア活動・買い物履歴と連携したインセンティブ設計により行動変容を促す仕組みも可能ですが、本市における設計構想を導入に向けた検討状況も含めてお伺いいたします。
政策調整部長: デジタル地域通貨を各種施策と連携することで、住民が地域活動に積極的に参加する動機づけが可能となるほか、市内経済循環の強化が図られると考えております。
また、市民の健康活動や消費行動のデータを分析することで、本市施策の精度向上や地域課題への的確な対応が可能となるなど、市民の暮らしの質の向上やまち全体の活性化につながることから、本市にとってよりよいインセンティブの在り方についても引き続き検討してまいります。
ウェブシステムやアプリについて
①本市が提供しているウェブシステムやアプリについて、障がい者・高齢者・外国人への配慮も必要であると考えますが、多言語化・音声対応・視覚的ナビゲーション等の導入について、アクセシビリティ等の評価も含めてお伺いいたします。
政策調整部長: 本市では、障害者や高齢者、外国人に配慮したウェブアクセシビリティの確保が重要かつ不可欠との認識に立ち、これまで市公式ホームページでは、4か国語【後刻 4言語と訂正】に対応していたほか、音声読み上げ機能の実装、文字サイズやフォント、背景色にも工夫をし、聴覚や視覚に障害をお持ちの方へも配慮したページレイアウトに意を用いてまいりました。
本年7月1日からのリニューアルに伴い、多言語対応は20か国語【後刻 20言語と訂正】へ拡大し、さらに高齢者や外国人へ的確に情報を伝えることができるよう、易しい日本語化機能やルビ振り機能が備わる伝えるウェブを導入しております。
リニューアル後の市公式ホームページは、ウェブコンテンツのアクセシビリティ基準を定めた日本産業規格、JIS X 8341─3に基づいた試験の結果、レベルAA一部準拠の評価が得られております。
また、市が提供する各種アプリについては、JIS規格による試験評価は実施しておりませんが、ホームページと同様、アクセシビリティの確保は重要との認識でおります。
防災や子育てなどのアプリは、市民生活に大きく関わることから、使用者の目線に立ったアクセシビリティの確保を重視したアプリの選定、提供に努めてまいります。
②ゴミ分別促進アプリ「さんあ~る」について、分類項目が多岐に渡り対象物を見つけにくい状況であるため、写真から対象物を自動的に判別し分別を促す機能の追加をベンダーに要望することも考えられますが、本市の見解をお伺いいたします。
環境部長: 本市では、ごみ分別アプリさんあ~るの機能のうち、ごみの分別検索をはじめ、ごみの収集日が自動で通知されるごみ収集カレンダー、市からのお知らせ配信など11種類のメニューを活用し、市民の皆さんのごみ排出をサポートしております。
このうち、ごみの分別検索では、検索品目が少ないとの声に応え、令和6年12月時点の546件から724件まで登録数を増やし、利便性を高めてまいりました。一方で、検索品目が多岐にわたることから、キーワード検索でも見つけにくい場合があることも認識しているところであります。
議員ご指摘の対象物の画像から検索品目を自動判別し、分別区分や収集日をお知らせする機能につきましては、令和7年6月よりアプリ提供元の有料オプションとして追加されており、当該機能の操作性や市民ニーズ、また費用対効果等を踏まえまして、導入の必要性について検討してまいります。
情報化に関連する事故の防止やリスク管理について
情報化に伴うハードウェアの事故防止等について
①リチウムイオン電池による事故等を防止するため、他自治体ではフェールセーフの考え方に基づき処理施設に炎や温度等のセンサーを設置したり、散水設備と組み合わせたシステムを導入したりしている事例がありますが、本市にもこのような仕組みを取り入れることへの見解を、これまでの予防策も含めてお伺いいたします。
環境部長: リチウムイオン電池は、今年3月から市内40か所の使用済小型家電回収ボックスで拠点回収を始めたところでありますが、適切に分別がなされず、資源にできない埋めるごみとして排出された場合には、あらかわクリーンセンター資源化工場での破砕等の処理に回されてしまいます。
当資源化工場では、ごみピットに、火災報知器と連動しピット内に散水する設備を設置するとともに、破砕機には、蒸気を吹き込み酸素濃度を低下させる蒸気防爆装置を装備するなど、防火対策に取り組んでいるところであります。
スプレー缶に加え、近年のスマートフォンやモバイルバッテリーなどの普及に伴いまして、全国的にごみ処理施設における火災が増加しており、中には、自治体のごみ処理が長期間ストップするなど甚大な被害を受けた施設もございます。
市民生活にとって安定的、持続的なごみ処理機能は必要不可欠であることから、分別回収の取組と併せ、施設の更新や大規模改修に合わせた施設整備などにより、実効性の高い防火対策に引き続き努めてまいります。
②本市で令和7年3月1日から回収が始まったリチウムイオン・ニカド・ニッケル水素電池等の充電式電池について、これまでの回収実績をお伺いいたします。
環境部長: 充電式電池の3月から7月までの5か月間の回収実績は計1.27トンであり、月平均0.25トンでほぼ横ばいで推移しているところであります。
また、充電式電池同様、資源物に分別区分を変更した乾電池につきましては、この5か月間で計18.81トン【後刻 13.81トンと訂正】、月平均では2.76トンが回収されております。
これらの電池類は、いずれも回収量が想定を上回り、着実に資源化につながっているものと捉えているところであります。
③回収後の具体的処理について、課題も含めてお伺いいたします。
環境部長: 回収後の充電式電池は、あらかわクリーンセンターにおいてリサイクルマークの有無や変形、膨張など電池の種類、状態に応じて分類し、適切に一時保管した上で民間のリサイクル事業者へ引き渡すこととしております。
その際、リサイクルマークのない海外製品や電子たばこ、変形、膨張した電池などは、全国的にも処理できる事業者が限られており、県外へ運搬する必要があるほか、事業者からは一定量をまとめて搬入することを求められております。
このため、遠方への運搬に要する費用負担に加えまして、長期保管に伴う場所の確保、また安全管理への負担が課題となっているところであります。
情報セキュリティ対策について
①Windows10のサポート終了期日が迫る中、本市への影響を対応も含めてお伺いいたします。
政策調整部長: 本年10月14日にウインドウズテンのサポートが終了すると更新プログラムが提供されなくなることから、新たな修正点や不具合への対応が行われず、セキュリティーリスクが高まるものと捉えております。
このため、事務作業を行う行政情報ネットワークシステム端末機については、本年8月からウインドウズイレブンへのアップグレード作業を開始し、事務拠点ごとに分散して適用を行っており、サポート期限前の10月9日までに完了する予定でございます。
また、インターネットと分離した環境で稼働している住民情報オンラインシステム端末機については、年末年始に予定している標準準拠システム及びガバメントクラウドへの移行終了後、ウインドウズイレブンへの適用によるシステムへの影響を確認の上、令和8年2月末までにアップグレード作業を完了させる見込みでございます。
引き続き、更新作業委託業者と連携して計画どおりにアップグレードが完了できるよう作業に注力してまいります。
①着実にしっかりと更新をされているということでございましたけれども、ただいまの答弁に対しましてお伺いいたしますが、影響について伺ったところであります。対策費用面の影響はございますでしょうか、お伺いいたします。
政策調整部長: ウインドウズテンからイレブンへアップグレードする際のライセンスは無料でございますが、行政情報ネットワークシステム端末機、住民情報ネットワークシステム端末機ともにアップグレード作業及び動作確認を外部委託しておりますので、役務に係る経費が委託料として発生いたします。この2つのシステムの委託料合計が1,512万円余となってございます。
②本市における情報セキュリティに関するインシデント件数を、外部攻撃・内部不正・人的ミス別に、主な事例も含めてお伺いいたします。
政策調整部長: 情報セキュリティーに関するインシデント発生件数は、令和3年度以降、7件でございます。
その内訳は、外部攻撃に該当するものとして、福島第一原発処理水の海洋放出が開始された際のサイバー攻撃と見られる本市ホームページへの大量通信が1件、人的ミスに該当するものとして、記録媒体の紛失が2件、メール誤送信が4件であります。
なお、内部不正に該当する事案はございません。
③②について、今後の対策をお伺いいたします。
政策調整部長: 外部攻撃対策では、ホームページへの大量通信に対するセキュリティー対策を強化したほか、事案が発生した場合に迅速な対応を取ることができる庁内体制を構築しました。
人的ミスの対策のうち、記録媒体の紛失につきましては、使用時の記録管理簿の作成及び施錠可能な場所への保管を改めて徹底してまいります。
また、メールの誤送信に関しましては、これまで研修やメール送信時のチェックポイント等を作成して注意喚起を行うとともに、受信者同士のメールアドレスが全て共有されてしまうCCでの送信を防止する仕組みや、宛先欄、Toへ2件以上のアドレスが入力されている場合にBCCでの送信、もしくは入力内容の確認を促すメッセージを表示させる仕組みを導入しております。
しかしながら、誤送信が続いている現状を鑑みると、今後のメールシステム更新に合わせて宛先欄への複数のメールアドレスの入力を不可能にするなど、人的な注意喚起に加えてシステム的な対応を検討してまいりたいと考えております。
④他自治体では、作業時の操作ログやAIによる誤入力防止システムの導入により情報漏えいリスクの低減を図っている事例がありますが、本市でも人的作業のリスク管理としてこうした仕組みを導入することについて、見解をお伺いいたします。
政策調整部長: 誤入力防止を目的としたシステムの導入は、情報漏えいリスクの低減に有効な方法だと認識しております。
本市におきましても、これまで人が手作業で行っていた定型的な業務をソフトウエアロボットで自動化するRPAや、AI技術を活用して紙の書類や画像に含まれる文字情報をデジタルデータへ変換するAI─OCRなどを導入し、大量のデータ入力や定型的な業務を自動化することにより、人的な作業ミスの軽減に努めております。
業務改善による省力化やミス防止の観点からも、引き続き、様々な事務作業へのデジタル技術の導入を検討し、人的ミスによるリスクを低減させる取組を進めてまいります。
⑤本市の情報管理について、内部要因におけるヒューマンエラーを防ぐために、作業マニュアルの作成・見直しや教育のみならず、人的作業の排除や運用体制の整備、そして作業環境の改善等の対策が有効ですが、本市の取り組みを、今後の計画も含めてお伺いいたします。
政策調整部長: 本市では、情報端末の操作や業務手順のマニュアル化、情報セキュリティー研修の実施を通して、事務の標準化と情報セキュリティーの確保に努めております。
また、本市が進めているBPRによる職員の意識改革とデジタル完結を目指すシステム内製化の取組は、業務の効率化を推進させるとともに、デジタル化及びシステム化によって人的作業が排除されることで、結果としてヒューマンエラーの削減も期待できるものであります。
今後におきましても、情報管理に関する階層別研修を充実させるとともに、BPRとセットとなるシステム内製化を推進していくことによって業務改善をさらに進め、人的ミスによるインシデントやアクシデントの削減に努めてまいります。
業務に関連する資格・試験と関連業務の展望について
情報処理技術者試験等のICT関連資格について
①島根県江津市では2026年度末までにITパスポート試験の全職員合格を人材育成の目標としていますが、本市でもこのような取り組みを行うことについて見解をお伺いいたします。
政策調整部長: 本市DX推進計画では、デジタル人材の育成、確保の方針として、全ての職員がデジタル技術を活用して現場の業務課題を解決できるよう知識の習得が必要なことから、適宜研修を行うこととしておりますが、必ずしもITパスポート試験をはじめとするIT関連の国家資格等を取得することまでは求めておりません。
現代の行政事務執行にあたっては、各種情報機器の操作方法習得にとどまらず、ITリテラシーに関する幅広い知識を身につけることは重要だと捉えております。
市といたしましても、DX推進計画に位置づけるデジタル活用研修の実施を通して、職員の知識習得やリテラシーの向上を図ることに加えて、資格取得支援制度による費用の一部助成なども活用しながら、希望する職員に対してITパスポート試験の受験を働きかけてまいります。
これらの取組によって、デジタル人材の育成や職員全体のデジタル力の底上げを図ってまいります。
①様々研修を行って知識習得を目指しているということでございましたけれども、ただいまの答弁に対しましてお伺いいたします。そういった研修の成果の測定方法を教えていただければと思いますが、ございますでしょうか。
政策調整部長: 特段効果測定というようなものについてはやっておりませんけれども、研修を行った際には必ずアンケート調査を実施しておりまして、どのような感想を持ったとか、研修によって得られた事項などを取りまとめているところでございます。
②情報処理技術者試験においては、2027年度までに「データマネジメント」や「デザインマネジメント」といった新しい区分が追加される予定であり、さらに、2026年度からは応用情報技術者試験・高度試験・情報処理安全確保支援士試験がCBTに移行される見込みである中、本市のDX推進計画へ情報処理技術者試験を活用することによる人材育成を明記することも考えられますが、本市の見解をお伺いいたします。
政策調整部長: 現在、経済産業省が設置したSociety5.0時代のデジタル人材育成に関する研究会において、時代の変化や社会要請に応じたデジタル人材育成の体系の見直しが議論されており、その中で、情報処理技術者試験の新たな試験区分設置が検討されていることは承知しております。
また、2026年度からは、これまでペーパー方式で実施してきた当該試験を、コンピュータを活用したCBT方式へ移行することが予定されており、このことは試験運営方法の効率化と受験機会の拡大につながるものと捉えております。
本市では、デジタル人材の育成、確保を重要な取組として位置づけるとともに、情報処理技術者試験についても資格取得支援制度による費用助成の対象としております。
引き続き、新たなデジタル資格や試験区分導入などの国の動向を注視するとともに、市が目指すデジタル人材像に沿った資格取得を奨励する範囲などを精査し、次期DX推進計画への反映を検討してまいります。
③基本情報技術者試験や応用情報技術者試験への合格後、高度IT人材として確立した専門分野を持つITスキル標準(ITSS)レベル4への合格を目指し、その後一般社団法人情報処理学会の認定情報技術者制度(CITP制度)へ登録することで関連知識や技能、そして業務遂行能力が評価・証明され、本市のDXがより一層推進することが期待されますが、CITP制度の活用に対する本市の見解を、DX人材の育成方針も含めてお伺いいたします。
政策調整部長: DX推進においては、デジタル人材の育成、確保が重要であり、ITスキル標準レベル4に合格し、認定情報技術者制度への登録といった高度な知識の取得を目指すことは、本市DXのさらなる推進に寄与するデジタル人材の育成につながるものと捉えております。
一方、同制度は、高度の専門知識と豊富な業務実績を有する情報技術者に認定情報技術者という資格を付与することにより、その能力を可視化することを目的としており、非常に高度な人材の登録制度となっております。
本市におきましては、業務改善や効率化を推進し、市民サービスの一層の向上を図るため、職員全体の基礎的なデジタル関連知識の底上げが重要と考えております。
今後も、基礎知識や情報セキュリティーを学ぶデジタル活用研修の実施や資格取得支援制度の活用に加えて、ITスキル標準も参考としたデジタル人材の育成に取り組んでまいります。
防災行政用無線局について
①本市では防災用IP無線を導入しており第3級陸上特殊無線技士以上の資格が不要となっていますが、被災地での運用に向けた機器設定の訓練状況を、トラブルへの対処策も含めてお伺いいたします。
危機管理監: 防災用IP無線は令和6年9月より運用が開始され、訓練については福島市IP無線機管理運用要領で規定しております。
災害対策現地本部となる各支所におきましては、機器の設定方法や操作手順をまとめたIP無線取扱いマニュアルを活用し、平時から定期的な通信訓練を実施することで、災害時における確実な運用体制の構築を図っているところです。
また、通信トラブルへの対処として、2つの通信キャリアが使用可能なデュアルSIM対応機を採用し、冗長性を確保しております。
今後におきましても、災害時の通信手段としてIP無線を有効に活用できるよう取り組んでまいります。
②他自治体では全職員が第3級陸上特殊無線技士以上の免許を取得することを目指している事例がある中、今後も有資格者や総務省が試行している通信復旧支援士の確保を検討すべきと考えますが、本市の見解をお伺いいたします。
危機管理監: 現在、国において、通信分野のDMATに相当する仕組みを複数年で計画的につくっていくとしており、通信設備の復旧講習や訓練の修了者を通信復旧支援士として登録し、被災地への派遣などを考えてございます。
計画では、全国を11のブロックに分け、まず令和7年度に計画策定や訓練、研修の結果を検証しながら、今後3年程度で体制を整えることとなってございます。
なお、本市を含む東北地方につきましては、令和9年度に東北総合通信局において計画の策定等が予定されております。
通信復旧支援士など有資格者の確保について、現時点で予定はございませんが、総務省による人材育成等の支援を注視するとともに、災害発生時における派遣受入れなどについて検討してまいります。
ふくしまスカイパークについて
①航空特殊無線技士以上の有資格者が必要なふくしまスカイパークにおいて、遠隔監視型の無人管制等による運用管理を導入することで省人化を進めることも考えられますが、本市の見解をお伺いいたします。
商工観光部長: ふくしまスカイパークは、現在、航空特殊無線技士と危険物取扱者乙種第4類の有資格者を管理棟に配置し、運用管理しております。
遠隔監視型の無人での運用管理は、省人化による人件費等の経費削減が図られる一方、遠隔監視に必要となる機材等への初期投資やメンテナンス費用に加え、現場における緊急時のバックアップ体制構築等が必要となります。
このことから、今後におきましても、ふくしまスカイパークについては、有資格者の配置体制で安全な運用管理に努めてまいりたいと考えております。
②ドローン物流や観光への活用等、各分野との連携によるふくしまスカイパークの利活用可能性について、本市の検討状況をお伺いいたします。
商工観光部長: ふくしまスカイパークでは、従来からのエアレースXや車両走行試験など多面的活用の取組を進めてまいりました。
これらに加え、室屋選手が代表を務めるパスファインダー社と締結した連携協定に基づき、産業振興では、施設の立地特性を生かし、福島ロボットテストフィールドが立地する南相馬市との連携により、互いが有する施設の特徴や強みを相互補完しながら、ドローンを含む航空宇宙に関連する実証実験の場としての利活用を図ってまいります。
今月末には、スカイスペースプロジェクトのキックオフイベントを開催し、関連企業の誘致と市内企業のサプライチェーン構築等による産業の振興につなげていきたいと考えております。
観光振興では、今年の春にパスファインダー社主催でふくしまスカイパークフェスタ2025春が実施され、来月12日には市とパスファインダー社とが連携した形で観光誘客の促進を図るためのイベントであるフライトエンターテインメントWINGS2025を開催するなど、空をテーマとした観光振興を通じた地域活性化を進めてまいります。
業務に関連する資格・試験について
①本市の業務に関連する資格・試験について、有資格者の確保や育成に向けた取り組みを、課題も含めてお伺いいたします。
総務部長: 行政需要が多様化、複雑化する中、有資格者を含めた人材の確保と育成は大変重要であります。特にデジタル化の推進に必要となる情報処理技術者や、福祉に関する相談、支援業務を行う社会福祉主事の確保が課題と捉えております。これを踏まえ、一般行政の採用職種に情報枠と福祉枠を設け、有資格者の確保に努めているところであります。
また、ITや福祉分野のほか、土木、建築分野など、業務に関連する有資格者の育成につきましては、資格取得に相応の時間と経済的負担が伴うことから、講習会等受講の際は職務専念義務免除をするとともに、資格取得費用の一部を助成することで、実務と自己啓発両立のための支援を行っております。助成制度につきましては、令和3年度の創設以来、4年間で38名が活用しており、分野別で最も多かったのはIT関連の資格で17名となっております。
なお、現在策定を進めております福島市人財活躍推進プランにおきましても、多様な経験を持った人材の積極的な採用や、資格取得をはじめとする職員の成長支援を盛り込むことを検討してまいります。



