防災・減災とインフラの維持管理について
防災・減災と地域防災計画について
①水害対策パッケージとして河川やアンダーパスなどにセンサを設置し、大雨及び豪雨時における現場対応の迅速化を検証する浸水センサの施行運用事業に関する来年度予算案が計上されていますが、事業計画の詳細を、センサの主な設置予定箇所も含めてお伺いいたします。
建設部長: 大雨及び豪雨時の迅速な現場対応を目的といたしまして、河川やアンダーパスなどに浸水センサーを設置しまして、メールによる情報伝達により、リアルタイムでの水位監視を行う事業を来年度計画しております。
具体的には、内水による被害が想定されます瀬上第1樋管を含む24か所の上流水路に浸水センサーを設置することで、危険水位の検知により即座に排水ポンプの手配ができ、浸水被害が軽減されると考えております。
また、過去に浸水被害が発生いたしました宮代ガードを含みます18か所の車両が通行するアンダーパスにも浸水センサーを設置することで、危険冠水水位を検知し、交通規制の事前告知や速やかな通行止めが可能となります。
本事業により、浸水危険性を早期に把握し、通行規制や排水対応を強化することで、引き続き市民の安全確保に努めてまいります。
②避難所の環境整備として、避難所にトイレカーを導入する来年度予算案が計上されていますが、配置先を台数も含めてお伺いいたします。
危機管理監: 検討しているトイレカーにつきましては、男性用、女性用、多機能、それぞれの個室トイレを備えたオールインワンタイプのトイレトラック1台を考えております。
災害時は、断水や停電などインフラの被害状況に応じ避難所に駆けつけるなど、柔軟に対応してまいります。
また、国では災害時に活用可能なトイレカーなどを平時から登録、データベース化し、ニーズに応じて迅速に提供する仕組みを検討しており、この枠組みによる応援派遣でありますとか、個別の相互応援協定に基づく派遣も考えられます。
平時に日常どこに配置するかは検討しているところでございますが、防災啓発の観点から、イベントなどでの活用も含め考えてまいります。
③災害対策基本法に基づき中央防災会議が作成した防災基本計画において、地方公共団体は、企業防災分野の進展に伴って増大する事業継続計画(BCP)の策定支援及び事業継続マネジメント(BCM)の構築支援等、高度なニーズにも的確に応えられる市場の健全な発展に向けた条件整備に取り組むものとするとされていますが、BCMについて、本市における条件整備の状況を、その取り組みを通じた防災活動の状況も含めてお伺いいたします。
商工観光部長: 本市では、市内の中小企業者を対象に、業務継続計画、BCP、またはBCPの簡易版である事業継続力強化計画の策定を支援しております。
おただしの事業継続マネジメント、BCMは事業継続のための計画、改善、教育などを含むマネジメント活動全般の仕組みであり、一般的には運用計画としてBCPに盛り込まれるため、BCP策定を促していくことはBCMの条件整備につながっていくものと考えております。
政府は、BCPについて企業による自発的な策定を推奨しておりますので、企業ごとの策定内容の詳細やその取組を通じた防災活動の状況までは把握してございません。
ただし、BCPとBCMに基づく緊急時の迅速な対応により、従業員や顧客の安全、企業に対する信頼が守られることから、事業継続マネジメントの重要性につながるよう、引き続き関係団体と連携しながら、計画策定支援や企業意識の向上に努めてまいります。
④事業継続マネジメント(BCM)の構築について、本市においても推進すべきと考えますが、見解を、今後の計画も含めてお伺いいたします。
危機管理監: 事業継続マネジメント、BCMは国の防災基本計画におきます企業防災の促進に関する部分にのみ記載がある用語ですが、その内容は実効性ある業務継続体制を確保していくための平時からのマネジメント活動を意味しており、自治体も公的機関として重要であると認識しております。
本市の業務継続計画におきましても、実効性を高める取組について定めており、避難所担当の職員を担当とした研修の実施や協定などによる関係機関との連携構築、強化に取り組んでおります。
また、新型コロナ流行時には、各所属において職員が感染または濃厚接触者となり、出勤者数が低下した場合を想定し、市民生活の維持に必要不可欠な業務の停滞に備えたシミュレーションにも取り組み、備えておりました。
今後複合棟の完成に伴いまして、BCPの更新を予定しておりますが、併せて実効性ある体制を確保する取組につきましても検証と見直しを進めてまいります。
道路並びに道路の地下に設けられている施設の維持管理や点検等について
①路面下の空洞探査について、電磁波レーダ法は電気特性が探査対象物の周辺の伝搬媒体である土と異なるものであれば埋設管の材質は金属・非金属とも探査可能であり、埋設管の探査のほか空洞の探査などにも利用できますが、本市での活用事例を、課題も含めてお伺いいたします。
建設部長: 本市では、令和元年度から緊急輸送路及び主要幹線道路等において、電磁波地中レーダー搭載の探査車を活用しまして、データの取得及び解析を行い、路面下の空洞の有無を調査しております。
これまで43キロメートルを実施しまして、空洞が確認されました危険度の高い16か所については、随時対応しながら補修工事を完了しております。
しかしながら、緊急輸送路は調査済みではありますが、管理している市道約3,000キロメートルのうち43キロメートルの調査にとどまり、予算的に年間で調査できる延長は限られることから、コスト面での課題があるものと認識しております。
また、探査車では地下1.5メートル程度までしか探査できないことから、調査範囲が限定されてしまうことも課題と捉えております。
②国土交通省では下水道法に基づき下水道管理者に対し、腐食のおそれの大きい下水道管路については定期的な点検を義務づけていますが、本市の点検状況を課題も含めてお伺いいたします。
都市政策部長: 腐食のおそれが大きい下水道管路は、5年に1回以上の点検を義務づけられており、本市では硫化水素が発生しやすい伏せ越し管と勾配が大きく変化する箇所の点検を実施しており、これまでの点検で異常は確認しておりません。
また、予防保全の観点から、設置後20年以上経過した管路314キロメートルを対象に点検調査を計画し、対策を進めております。
令和元年度から令和5年度までに263キロメートルの調査、点検を完了しており、特に緊急性がある異常箇所、延長332メートルについては、速やかに布設替え等を行っております。
それ以外の異常箇所、延長3.5キロメートルについては、新年度に修繕改築計画を策定し、対応してまいります。
課題といたしましては、経年劣化による維持管理のコスト負担が増えることに加え、経験や技術力のある人材不足などが課題と捉えております。
③事業者は、マンホール設備内等での第二種酸素欠乏危険作業に労働者を従事させる場合、当該作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を18%以上かつ硫化水素の濃度を10ppm以下に保つように換気しなければならず、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者の技能講習を修了した者のうちから酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者を選任しなければなりませんが、本市の状況をお伺いいたします。
都市政策部長: 市で管理いたしておりますマンホール内での作業は、酸素欠乏症や硫化水素中毒の危険性があるため、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者が常駐管理を条件として業者に委託等をしております。
④本市では、上下水道耐震化計画に基づき、特に救急医療機関等の重要施設へ繋がる上下水道管路を優先的に耐震化するための事業を計画していますが、その計画内容をお伺いいたします。
水道局長: 上下水道耐震化計画は、能登半島地震の教訓を踏まえ、水道給水及び下水道排水が途絶えてしまうと極めて大きい影響を及ぼすと考えられる施設を重要施設と位置づけ、機能維持を図るため、最優先に上下水道一体で管路の耐震化を図るものでございます。
本市では、重要施設として救急医療機関、避難所、市県防災機関の計35施設を選定しております。
当面の5か年計画として、上水道では県立医科大学附属病院、医療生協わたり病院を対象に、下水道では大原綜合病院を対象に整備を進め、令和11年度末には耐震化済みである市役所と市保健所、下水道総合地震対策計画等による整備を含め、計10か所につながる上下水道管路の耐震化が図られます。
令和12年度以降につきましても、残る重要施設の機能維持を計画的に推進してまいります。
⑤水道管の配管内部洗浄業務委託事業について、特殊生成されたアイスシャーベットを用いて管内を洗浄する新たな配管内部の洗浄工法であるアイスピグ管内洗浄工法を取り入れ、水道管の内部洗浄作業が効率化するための来年度予算案が計上されていますが、具体的な委託内容の詳細を、効率化の内容も含めてお伺いいたします。
水道局長: 本工法は、水道管内部に特殊な氷の塊を充填しまして、水の力で押し出し、管路の内部を洗浄する工法で、令和7年度は口径200ミリメートル、延長約1キロメートルの管路洗浄を予定しております。
本工法は、1回の作業で長い延長を洗浄することができ、これまでは水圧だけで約6時間要していたものが1時間半と短縮、使用する水の量は約10分の1と節約が図られるとともに、従来洗浄が難しかった曲がり配管などにたまった汚れも効率的に洗浄することが可能となりました。濁り水の発生を抑制する効果が期待できるものと考えております。
⑥「水道局から来ました」と水道局職員を装い、水道水の水質検査を行い高額な代金で浄水器を売りつけたり、引込管等の点検を迫ったりという悪質な点検商法に関する報告がある中、本市でもウェブサイト等で注意を呼び掛けていますが、本市が把握している状況を、対策も含めてお伺いいたします。
水道局長: 水道局が直近で把握している悪質な点検商法は、令和5年度2件、令和6年度1件となっております。
頼んでもいない水道管修理による高額請求や、水質検査後に病気になると不安をあおり、高額な浄水器を購入させられた、水道メーターを見たと言われ、料金を支払ったなどとなっております。
市民がこうした被害に遭わないよう、SNSや局のホームページ、広報紙によりさらなる注意喚起を行うとともに、市消費生活センターとの情報共有、連携により被害防止に努めてまいります。
⑦道路占用工事においては沿道住民への迷惑防止や公共事業の繰り返し工事防止などの観点から、一般に工事計画段階で道路管理者が道路工事調整会議を主催し、必要に応じて同一掘削溝内での共同施工などの調整が図られますが、本市において開催されている同義の道路占用会議について、実施状況をお伺いいたします。
建設部長: 本市では、道路占用工事における沿道住民への影響軽減や公共事業等の効率的な実施を目的といたしまして、道路管理者が主催する道路占用会議を毎月開催し、工事の重複を避けるための情報共有や掘り返しの防止、共同施工の可能性などについて協議しております。
今後におきましても、道路における工事場所や時期などの計画について、GISなどのデジタルツールを活用いたしまして、道路管理者と占用事業者間における効率的な情報共有の仕組みづくりに取り組んでまいります。
⑧道路や道路の地下に設けられている施設を維持し事故を未然に防止するため、本市における今後の取り組みをお伺いいたします。
建設部長: 引き続き、路面下空洞調査を計画的に実施しまして、事前に陥没危険度を確認するとともに、道路パトロールの目視点検では見落としがあることから、近年の技術革新を踏まえまして、スマートフォンやドライブレコーダーを活用したAIによる路面診断などの新技術についても導入に向けて調査研究を行い、路面のクラックや異常箇所の早期発見に努めていきたいと考えております。
また、市が管理しております上水道管につきましては、市内全域を対象とする漏水調査において、特に基幹管路や重要配水管を計画的に点検するとともに、人工衛星画像を用いた漏水リスク評価を取り入れ、対応を強化しております。下水道管につきましては、設置後20年以上を経過している管路の点検、調査、修繕を計画的に実施するとともに、緊急性のある箇所は速やかに修繕してまいります。
今後についても、市民に対してLINEを利用した市民通報システムによる情報提供を積極的に呼びかけるとともに、管理者間の連携をさらに強化し、予防保全に取り組みながら道路陥没事故の未然防止に努めてまいります。
まちづくりと公共交通について
中心市街地の歩行空間について
①うえいく?えきなか通る!社会実験事業について、検証結果を課題も含めてお伺いいたします。
都市政策部長: 実験期間中の利用者は2,356人、延べ通行人数は8,409人であり、日別の利用者数や通行時間帯の推移及びアンケートの結果から、平日は通勤、通学、休日は買物、飲食、イベント目的の利用者が多いと推測され、一定程度町なかの回遊性向上に寄与したものと認識しております。
利用者からは、駅構内の通路が便利、継続して利用したい、東西自由通路を整備すべきの意見が非常に多い一方、既存の地下通路は暗い、臭い、圧迫感があるの意見も多く寄せられており、新たな東西自由通路の整備が求められていると分析しております。
一方、課題といたしましては、チケット登録方法、ログイン方法が面倒など、スマートフォン操作に関することや通行可能な時間帯の拡大などの意見をいただいたところでございます。
②①の結果を受けて、今後の計画をお伺いいたします。
都市政策部長: 社会実験のアンケートの結果から、改めて新たな東西自由通路の整備を求められていることを認識いたしました。
一方、駅舎、駅ビルも含めJR東日本と対話する中で、東西に拠点があり、往来が生まれる将来像が必要であると指摘されております。
東西の拠点づくりについて、将来の姿が見えてくれば、東西自由通路等、駅周辺についてもより具体的な検討を進められるのではないかと考えております。
今後、東西自由通路に関しては、引き続きJR東日本や県などの関係機関と議論を進めていくとともに、駅ビルの改築についてはJR東日本へ働きかけてまいります。
③居心地よく歩きたくなる歩行空間の検討やAIカメラによる人流分析システムを構築するためのウォーカブル推進事業に関する当初予算案が計上されていますが、実施予定箇所を、分析結果の活用計画も含めてお伺いいたします。
都市政策部長: 本市では、町なかのにぎわい状況をはかる指標として、歩行者通行量を年間平日、休日の各1日、アナログ方式により調査しておりますが、定期的かつ定量的な評価を行うためには、年間通して人流を測定する必要があると考えております。
そのため、駅前通りなど町なかの主要な通り16か所にAIカメラの設置を予定しております。性別、年代の属性など、詳細なデータ分析ができる人流交通分析システムを構築することにより、歩行者通行量を把握し、イベントや社会実験等の施策の効果検証、回遊性、滞留性の向上に向けた施策の検討に活用したいと考えております。
また、来年度から取り組む予定のウォーカブル推進計画においては、町なか再生の要素である人が流れるの促進施策として、居心地がよく歩きたくなる空間の創出を、ほこみち制度も活用し、相乗効果が生まれる取組を検討したいと考えております。商店街の方々や地元住民、若者とのワークショップでご意見を伺い、エリアの快適性、魅力向上を図るための整備などについて官民共創で検討してまいります。
④福島駅西口周辺移動手段確保事業について、期待する効果をお伺いいたします。
都市政策部長: 福島駅西口周辺においては、大型商業施設に続き、駅建物内の食品店の閉店も重なり、福島駅周辺まちづくり検討会の場や周辺住民から日常的な買物が不便になったとの声が多く聞かれました。
今回の実証運行は、こうした声を受け、当面の移動手段を確保するために実施しているものでございます。
2月25日の運行開始から3月7日までの9日間で延べ281人、1日当たり31人の方に利用いただきました。これまでの利用層を見ますと、当初想定していた高齢者の買物はもとより、マイカーを持たない若年層の移動手段としても利用されておりますことから、日常的なお出かけに気軽にご利用いただけるものと考えております。
地域公共交通について
①地域公共交通の要であるバス路線について、急激な減便を迫られているケースがありますが、本市が把握している状況をお伺いいたします。
都市政策部長: 市内バス事業者は、コロナ禍以降、急激な利用者の減少、物価高騰による経費増など、これまで以上に厳しい経営環境が続いております。
しかし、これらの要因以上に深刻化する運転手不足に働き方改革の影響が相まって、運転手の確保が困難な状況となっています。
これまで利用が極端に低い便についても、事業者が自助努力で調整を行い、早朝から夜間まで運行を維持してまいりましたが、今般やむなく最終便の繰上げや利用者が少ない土日、祝日のダイヤを中心とした減便などが実施されている状況でございます。
②標準的なバス情報フォーマットであるGTFS-JPをオープンデータ化し、ダイヤ編成支援システム等も活用することで、ワンソース・マルチユースでの利便性向上に取り組んでいる他市の事例がありますが、本市での活用状況を、本市が把握している市内事業者の活用状況も含めてお伺いいたします。
都市政策部長: これまで市内バス事業者は、標準的なバス情報フォーマットを活用して、独自に利便性向上に取り組んでまいりました。利用者がリアルタイムでバスの運行状況を把握することができるバスロケーションシステムを導入し、検索サイトによる経路案内等も可能となっております。
今年度からは、本市も参画する福島県地域公共交通活性化協議会において、県が主体となり、県内バス路線基本情報のオープンデータ化やデジタルマップ等の構築が進められています。令和7年度以降もさらなる活用が検討されていることから、県、近隣自治体、事業者と共にデジタル技術の活用による利便性向上に取り組んでまいります。
③蓄積された利用者の乗車区間データであるODデータを分析することで正確な乗車ニーズを把握し、利用者ニーズに合わせたバス路線を設定している他市の事例がありますが、本市でもこのような取り組みを行うことについて、見解をお伺いいたします。
都市政策部長: データに基づく定量的な需要把握は、バス路線の運行の効率化や利便性向上を検討する上で有用であると認識しております。
福島交通では、ノルカシステムで得られる利用データを分析し、運行の効率化に活用しています。
また、先ほど答弁いたしましたとおり、福島県地域公共交通活性化協議会が進める公共交通DXの推進により、今後運行データ等の活用も期待されておりますので、本市としても引き続き事業者や関係機関と連携して取り組んでまいります。
④利用者の予約状況に合わせてAIが車両のルートやダイヤを自動計算することで効率的な配車や運行を行うサービスであるダイナミックルーティングの乗合バスを取り入れている他市の事例がありますが、本市でもこのような取り組みを行うことについて、見解をお伺いいたします。
都市政策部長: AIオンデマンド交通は、利用者の乗降希望場所と時間に応じて最適なルートを設定することから、定時定路線型では応じられない移動需要に対応することが可能となり、また運行の効率化にもつながるものであると考えております。
一方、需要が少ない地域では乗り合うことが少なく、AIオンデマンドのメリットを享受できない場合もございます。今後、本市地域公共交通の在り方を総合的に検討する中で、地域ごとの移動需要と効果を見極めながら、一つの選択肢として検討してまいります。
⑤本市においては、地理的に公共交通が不便な地域において、買物や通院などの日常生活の足の確保に取り組む地域住民主体の団体を支援する、福島市地域で支える交通支援事業が市内3地区で行われていますが、これまでの効果を、今後の計画も含めてお伺いいたします。
都市政策部長: 立子山地区をはじめ3地域が自ら発意し、確保に取り組んでいる小さな交通は、既存の公共交通サービスを補完する役割を担うものでございます。
ボランティア輸送を実施する立子山地区では17か月で延べ49回、庭坂地区では10か月で延べ18回、大波地区では昨年11月から相乗り型乗用タクシーの実証運行を開始し、2か月で延べ8回と、いずれも高齢者等の通院、買物等、日常生活の移動支援になっているものと受け止めております。
一方で、既存の公共交通事業者との運行範囲等の調整や関係者間の合意形成、地域の担い手確保、周知方法など課題も見えてまいりました。
これらの課題も踏まえつつ、引き続きボランティア輸送、タクシー活用、公共ライドシェアである自家用有償旅客運送など、地域特性や移動需要に応じ、多様な運行形態を活用しながら、交通空白地等の解消に努めてまいります。
⑥地域公共交通を維持するための本市における今後の取り組みを、バス路線運行維持対策事業の詳細も含めてお伺いいたします。
市長: 本市が進めるコンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりにおいて、交通ネットワークの構築は本市全体の均衡ある発展のためにも欠かすことのできない重要な施策です。
一方、深刻化する運転手不足に働き方改革の影響が相まって、運転手の確保が困難な状況が続き、運行の効率化や運転手の適正配置、公共交通のDXの推進が急務となっています。
地域の移動手段を持続的に確保していくためには、本市が目指すまちの姿と現状の課題とのバランスを取りながら、交通の担い手の確保を図り、多様な運行形態、多様なサービスを総動員して効果的に配置していく必要があります。
そのため、各拠点間を結ぶバス、鉄道網は、既存の定時定路線型の交通を活用し、できるだけ維持しながら利便性を高めます。
それぞれの地域内の移動を支える交通は、地域の需要や実情に応じて路線の再編を進めるとともに、AIオンデマンド交通など、柔軟な運行形態を検討するなど、公共交通のDXも併せて進めながら運行の効率化を図ります。
交通空白地帯の解消に向けては、地域主体の小さな交通を市民共創で育てながら、成功事例を積み重ね、他地区への展開を図ってまいります。
おただしの令和7年度のバス路線運行維持対策事業では、事業者に経営改善を求めながら、住民の日常生活を支える路線バス等を補助金等で支援していくほか、従業員の第2種免許取得費用に対する事業者補助制度を創設するなど、担い手の人材確保も支援することで、路線の維持確保等に努めてまいります。
しかしながら、公共交通を維持していくためには、事業者の自助努力や行政の支援だけでなく、市民の協力が不可欠です。
公共交通に関する情報を開示して、その現状をご理解いただくとともに、地域で乗って支える、そういった取組もお願いしてまいります。
これら施策を着実に実行しながら、公共交通に関わるあらゆる関係者と共にコンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりに資する持続可能な公共交通体系を構築してまいります。
まちづくりについて
①本市では、街なかの不動産投資が低調な現状や課題について、不動産・金融・商業・行政等からなるステークホルダーが共通認識を深め不動産投資を活性化することで街なかの魅力向上を図るため、街なか不動産投資研究会が官民連携して活動を行っていますが、これまでの取り組みを、今後の活動計画も含めてお伺いいたします。
都市政策部長: 街なか不動産投資研究会は、令和4年度に設立、これまで8回の研究会を開催し、それぞれの専門分野の視点から中心市街地の現状について問題提起していただき、意見交換をしてまいりました。
町なかの3分の1がコインパーキング等の低未利用地という現状を踏まえ、町なかの駐車場の現状や今後の見通し、フリンジパーキングへの土地利用転換の事例など、町なかの土地利用に生かせる施策について知見を深めたところでございます。
このほか一般市民、事業者向けに開催したまちづくり分野の専門家によるシンポジウムとセミナーは、非常に参加者が多く、町なかの再生に関心を持っている市民が多いことを認識いたしました。
今後は、新年度から予定しているビル等の新増改築支援や今年度拡充した内外装工事補助、家賃補助等の制度について、この研究会を通してメンバーや聴講者に積極的に活用していただくよう働きかけ、民間の不動産投資の活性化につながるよう取り組んでまいります。
ICTの活用と産業の振興について
科学的介護情報システム(LIFE)について
①介護施設や事業所が行っているケア計画や介護サービス利用者の状態などの情報を一定の様式で厚生労働省に送信することにより、そのデータが分析されフィードバックされる情報システムである厚生労働省の科学的介護情報システム(LIFE)について、介護施設や事業所がLIFEを活用することでケアの質向上や地域全体の自立支援並びに重度化防止等が期待されていますが、本市の見解をお伺いいたします。
健康福祉部長: 科学的介護情報システム、通称LIFEは、介護サービス利用者の状態やケアに関わる情報を登録することで、全国の介護施設や介護事業所から収集した情報に基づく分析がフィードバックされるシステムでございます。事業所において登録したデータやフィードバックを利用し、ケアの見直し、改善に役立てていくことで、利用者に対するよりよいサービスの提供につながるものと認識しております。
市といたしましては、LIFEを活用した介護サービスやケアの質の向上に取り組む介護施設や介護事業所が増加することで、地域全体の自立支援強化や介護度の重度化防止にも寄与するものと捉えております。
②介護施設や事業所によっては、職員の人手不足等によりLIFEの活用に至らずそのメリットを受けられず、さらに介護報酬の加算を受けられないために収益向上に繋げられない場合がある中、市による伴走支援や人材育成のための取り組みに対する支援が急務であると考えられますが、本市の見解を今後の計画も含めてお伺いいたします。
健康福祉部長: LIFEは介護施設事業所専用のシステムであり、自治体はシステムに直接アクセスすることができません。そのため、現状としては、市ではLIFEの操作方法等に関するノウハウを持ち合わせておらず、システムに関する技術的な支援ができない状況でございます。
今般、国よりLIFE利活用のための追加情報が市町村にも提供されると伺っております。市といたしましては、それらの情報を基に、可能な範囲ではありますが、事業所に対するサポートをしていきたいと考えております。
③厚生労働省による科学的介護情報システム(LIFE)の第1回説明会自治体向け説明資料内「管内の介護施設・事業所全体に対する支援」によると、LIFEに関する制度や趣旨の理解促進に向けた具体例として、自治体主催の研修会を開催することによりLIFEに関する内容を含めその意義や利活用についての介護施設や事業所の理解促進を図ることが挙げられていますが、LIFEの利活用促進に向けたこれまでの本市の取り組みを、今後の計画も含めてお伺いいたします。
健康福祉部長: これまで本市では、市内の介護事業所等へLIFEに関する情報を提供することによって、その利用促進を図ってまいりました。
令和3年4月の運用開始から現在までに、LIFEを活用することによる加算取得率が6割を超えております。
また、国が示す支援の例として、自治体主催の研修会開催が示されておりますけれども、本市が把握しているLIFE関連情報は、国が示した資料の範囲に限られております。加えて、先ほどご答弁申し上げたとおり、システムの操作方法や技術的支援のノウハウも持ち合わせていないことから、現状では福島市が主催する研修実施は難しいものと考えてございます。
今後国から追加で提供される情報を事業所へお知らせするとともに、毎年実施している介護事業所への集団指導の中でもLIFEの意義や利活用のメリットについて広く案内するなど、事業所に対しLIFEの利活用を働きかけてまいります。
デジタル教科書について
①文部科学省の作業部会は、2030年度にもデジタル教科書を正式な教科書として位置づけるとして中間案をまとめましたが、デジタル教科書には習熟度の容易な分析、音声や動画による学習、容易な書き込みとその修正等、多くのメリットがある一方、視力低下や情報セキュリティ上の課題のみならず、記憶定着等への影響を懸念する研究結果も存在する中、デジタル教科書と紙の教科書のメリット・デメリットについて、本市の見解を、本市が把握している国の動向も含めてお伺いいたします。
教育長: デジタル教科書のメリットは、動画や音声など様々なコンテンツを活用することで児童生徒の学習への意欲を高めるとともに、児童生徒の認知スタイルやペースに合わせた学習活動が可能になる点等にあります。デメリットは、視力低下の一因となる可能性があるため、健康面への配慮が必要となる点や、効果的な活用のための指導者のスキルに差がある点などでございます。
紙の教科書のメリットは、一覧性に優れる、一目で学習する内容が目に入ってくるため全体が把握しやすい点や、書き込みやすく、学んだことを残しやすい点などであります。デメリットは、デジタル教科書に比べ情報量が少ない点や、ページ数の増加や大判化に伴い、持ち運びが負担となる点などであります。
国は、令和6年度より段階的に学校にデジタル教科書を提供し、紙の教科書と併用しながら、その普及、活用を進めています。また、この動きをさらに進めるため、昨年7月にデジタル教科書推進ワーキンググループを設置して効果、影響を検証し、その在り方と推進方策を検討しているところであります。
本市といたしましては、国の動向を注視するとともに、紙の教科書と併せてデジタル教科書を効果的に活用できるよう、引き続き教員のスキル向上に向けた研修を実施してまいります。
本市内事業者等における産業の振興やICTの活用について
①本市内事業者等のデジタル技術やAIを活用したビジネスの革新、そして業務効率化等の取り組みを表彰・支援することで、地域全体への波及を目指すふくしまデジタル・イノベーション・アワードに関する来年度予算案が計上されていますが、想定している実施時期等の詳細な内容をお伺いいたします。
市長: ふくしまデジタル・イノベーション・アワードは、地域全体におけるDXの推進と若者やデジタル事業者が集う魅力的なまちづくりを目指して実施します。本アワードの実施時期については、ふくしま産業交流フェアをはじめとする市主催の事業者向けイベントと同時開催する案を含め、現在検討しているところです。
アワードでは、デジタル技術やAIを活用した先進的なDX事例やBPRによる業務効率化の取組を対象とする事業者部門に加え、デジタルを活用した地域活性化のアイデアを学生や市民から提案いただくアイデア部門も表彰の対象とすることを予定しています。また、著名な方を審査員として招くことを検討しており、事業の発信力強化と受賞事業者などとのネットワーク構築につなげ、地域全体のデジタル化を一層加速します。
受賞事例を広く発信することで、デジタルやAIを活用できていない事業者の取組への第一歩を後押しするとともに、市内外へデジタル化にチャレンジする市の姿勢を積極的にアピールすることで、地域全体のDX推進と若者のデジタル事業者が集まるまちを目指してまいります。



